難度海どんぶらこブログ

つれづれ書いていきます。

2023年度病理専門医試験 ほんとの逆評定

逆評定というタイトルを前日の記事につけておいて、ただの長文愚痴祭りになってしまったので、反省して項目立てて文句を書いていこうと思います。

 

①III型試験について 総合評定 B

・写真が大きめなのはgood。

・実際の症例を使っているわけではないような印象がやはりあった。取ってつけたようなガチガチのNASH肝硬変で食道静脈瘤や脾腫があるに、そこまで採血データは派手ではなく、高血圧と糖尿病だけで通院していたっていう病歴がちょっとあやしかった。だいたい高血圧治療やってて収縮期血圧130〜140mmHgってかかりつけ主治医ダメなのでは。心肥大まで生じてるわけだし。

・既往の認知症(軽度)ってなんやねん。アルツハイマーって書くと受験生に丸わかりになってしまうから避けたのだろうけど、別にアルツハイマーと書いてくれてもいいと思った。

・HEだけで弱めの嚢胞状中膜壊死、高分化肝細胞癌RFA後の残存有無、海馬の変性所見を見抜かせようとする試験でした。どれも初めて見ましたよ僕は。ありそうで今まで避けられてたタイプの出題。クイズのためのクイズでした(負け惜しみ)。

・肺の写真とバーチャルスライドはあれ何だったのか面接終わってもよくわからない。

・いやでも中膜壊死はアルシアンブルーを提示してもええでしょ普通は。面接で救済されたことを祈ります。

 

②I型試験 総合評定 C

・横書きのPDFに1ページあたり4分割の写真では、核所見が見えまへん。前立腺針生検をあんなループ像で診断させるかな普通(腺癌の場合はGleason Scoreを書け的なことを書いてましたが、通常型腺房腺癌ではなかったですよねアレは。導管腺癌、基底細胞過形成、HGPINと各受験生で解答がとても割れてました)

・全胞状奇胎でp57Kip2を書かせる謎出題。暗記力を試してるんですかね。

・まさにクイズのためのクイズでした。日常臨床ならもっと臨床から鑑別が挙がっているはずです。細胞検査士の試験とか日臨技フォトサーベイと似たようなテイストでした。

 

③IIa問題とIIb問題 総合評定 B(一部はC)

・典型例とは思われるものの、普通は免染で確認が必要だろという疾患をHEで判断させるような出題がチラホラ(硝子化索状腫瘍と髄様癌の鑑別とか、もっと硝子化はっきりしてくれないと、バーチャルだとアミロイドと区別難しいよー、境界が明瞭だから硝子化索状腫瘍を選ばせたいんだろうけど)

・IIb問題の微小嚢胞状付属期癌はなぜ出題されたのか謎。典型例なのだろうけどあんなレアなの知らなきゃ答えられないよ。ミキちゃんの本にも載ってましたっけ?外科病理にはさすがに載ってますけど。専門医試験に出すような疾患ですかねえ。

・IIc問題だったかもしれないけど、ついに毛様細胞性星細胞腫の遺伝子変異を選択式で答えさせる出題がありましたね。唾液腺癌とかならともかくあれはノーマークでした。わかるわけないだろ。

 

④IIc問題 総合評定 D

・1問目は鞍上部腫瘍という記載だけからチャタだらけの迅速標本を見て、ジャーマノーマを想起できませんでした。実力といえばそれまでかもしれないけど、脳腫瘍はやってる施設が限られるし、もう少しひねりのない問題を出してくれてもいいのに。

・基本的に迅速標本は下手くそな出来のものをわざと選んでいる可能性を感じました。めくれ上がっているものも多かった。胆管断端の標本なんて壁が一部出てませんでしたよ。作り直しですよ日常臨床だったら。

・細胞診はバーチャルスライドでZ軸方向にピントを7段階ずらせるのはいいのだが、スクリーニング範囲が膨大すぎてしまう。単純計算で7倍見なきゃいけないわけです。NILMをNILMと言い切るには全ての範囲を見る必要があるので、しんどみを感じました。

 

以上です。試験時間は結構タイトで、じっくり考えてる時間はそれほどありません。過去問は答えと正答率だけが公開されてますが、やはり受けてみないとわからないことは多かったです。東京の大規模な医局とかならともかく、自分の前の数年間に入局者がいないような地域の専攻医は、古い試験の古い情報しか得られないためかなり不利だと思いました。

典型例を出して答えさせるというよりは、流行りの参考書を読み込んで、ひっかけ問題への対策もしておく必要があります。肺内リンパ節とかも出題されちゃいますからね、焦ってリンパ腫とか書かないように。

とにかく精神的にも体力的にもしんどい試験です。そのわりに得るものは無いのですが…。